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オオサイチョウのカニバリズムと人工飼育 [原著]

Gabayoyo et al. (2015) Artificial incubation and hand rearing of Great Pied Hornbill Buceros bicornis following cannibalisms of chicks by parents. Malayan Nature Journal 67:119-130.
http://www.mnj.my/index.php/mnj/article/view/180

シンガポールのJurong Bird Parkで2010年から2012年に繁殖したオオサイチョウのヒナを人工飼育した経過報告。2010年は3つの卵を産んだが、いずれも親がヒナを食べてしまった。2011年は3つの卵を産んでから、抱卵2週間を経て、人工飼育に変更。2012年は3つの卵のうち、1つが割れ、1つが未受精卵で、1つはメスが途中からヒナに給餌しなくなったので、人工飼育に変更している。

2010年の繁殖期に人工巣内をモニタリングできるCCTVカメラを導入したことで、産卵日や巣内での行動を詳細に記録できている。ちょっと驚いたのは3年とも一腹卵数が3であること。2個は産んでいることは知られているけど、本来は3なのだろうか?同じペアのデータなので、どのくらい一般性はあるか不明だが、大型鳥類とはいえ、1卵ということはなさそう。

飼育下での抱卵期間は37日で、最初のヒナはメスが食べてしまった。2羽目のヒナは巣の中に首を突っ込んできたオスがつまみあげて、メスにあげると食べて、3羽目のヒナもメスが食べたと見られている。オオサイチョウのペアは1日に2回、パパイヤ、バナナ、ブドウ、ひき肉、ヌードマウス、サイチョウ用ペレットを給餌されていた。

2011年は3卵が産まれた段階で、回収して、人工飼育に切り替えている。ただし、3卵目は無精卵だったので、初卵と二卵目の孵化直後の体重は34g前後。その後は毎日体重の増減を記録している。孵化後1か月で、800-1400gと結構なばらつき。孵化後40日くらいで、ヒナの採食行動に変化が見られ、果物よりも肉を好むようになり、果実は吐き戻したりする。野外でこのような観察は困難なので、貴重な情報。

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