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半島マレーシアにおけるムジシワコブサイチョウの保全 [原著]

Yeap et al. (2015) Conserving the globally threatened Plain-pouched Hornbills in the Belum-Temengor Forest Complex, Peninsular Malaysia. Malayan Nature Journal 67:144-157.
http://www.mnj.my/index.php/mnj/article/view/182

半島マレーシアのタイ・マレーシア国境付近を利用するムジシワコブサイチョウを対象とした市民参加型モニタリングプログラムの結果をまとめた論文。筆頭著者のYeapさんはわたしがタイ南部で調査をしていたころに連絡をもらったことがある。ムジシワコブサイチョウはミャンマー、タイ、マレーシアにかけて分布するAceros属の一種で、大規模な移動を行うことが知られている。この論文では2004年から2012年に収集されたデータをまとめている。

この地域でムジシワコブサイチョウの移動が確認されたのは1992年。当初はAceros属の一種で、シワコブサイチョウかムジシワコブサイチョウか断定できていなかったが、その後の観察からムジシワコブサイチョウであることが確認され、マレーシアで10種目のサイチョウ類となった。

毎月、定点観察を朝夕に行い、個体数、性別、年齢、飛行方位、行動などを可能な限り記録しているが、欠損月もある。2008年から2012年はボランティアプログラムにより、8-9月についてはほぼ毎日の調査を行うことができている。2010年から2011年については、複数の場所で同時カウントを行い、最大個体数を推定している。

6月ごろから観察されるようになり、9月ごろに個体数のピークが見られる。最大3261個体がカウントされているが、年変動がかなり大きい。ただし、ねぐらはまだ確定できていない。ねぐらを特定するには、衛星追跡しないと難しいだろうなあ。このタイ・マレーシア国境地域がムジシワコブサイチョウの日繁殖期の重要な生息環境になっているのは間違いない。

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