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ナメクジによるアミメクロセイヨウショウロの胞子散布 [原著]

Ori et al. (2021) Effect of slug mycophagy on Tuber aestivum spores. Fungal Bology 125:796-805.
https://doi.org/10.1016/j.funbio.2021.05.002

ヤマナメクジの胞子散布に関連した研究に関わっているので、現状を知るのにちょうどよさそうな論文。地下に子実体を形成するトリュフの仲間では、空気中に胞子を飛ばすことは難しい。食菌性動物による被食散布によって、胞子が散布されると考えられており、哺乳類の中ではネズミ類、無脊椎動物の中では節足動物に注目されてきた。この研究では、ナメクジの胞子散布の可能性を給餌実験と食性調査から検討している。

ナメクジの一種Deroceras invadens(DNAバーコーディングで種同定)とハツカネズミを用いて給餌実験を行い、それぞれの動物が排泄した胞子の表面構造をSEMとAFMで観察し、アカガシワの実生に接種して、菌根形成を調べている。さらにトリュフ畑で採集したナメクジの腸内容物をDNAバーコーディングして、野外でもアミメクロセイヨウショウロを食べているのかどうかを確認している。

ナメクジの体内を通過することで、胞子の大部分が子のうから離れ、胞子の表面構造に変化が見られる。こういった変化があることで、コントロールと比べると菌根形成が起こりやすかったのではないかと考察している。またトリュフ畑のナメクジの腸内容物からも胞子が含まれていることが示されたことから、哺乳類や節足動物だけではなく、ナメクジもトリュフの仲間の胞子散布に貢献している可能性を示した研究。
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