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タイヨウチョウ不在の東アジア地域では、ジェネラリストの鳥類がナガミカズラの有効な送粉者 [原著]

Chen et al. (2019) Effective pollination of Aeschynanthus acuminatus (Gesneriaceae) by generalist passerines, in sunbird-absent East Asia. Scientific Reports 9:17552
https://doi.org/10.1038/s41598-019-53035-2

イワタバコ科ナガミカズラ属はタイヨウチョウやクモカリドリなどの鳥類が花粉媒介することが知られている。本研究では、それらの鳥類が分布していない場所で、何が花粉媒介を担っているのかを調べている。アジアの温帯では、冬に咲くビワやツバキなどで鳥類による花粉媒介が知られているが、熱帯地域に多いタイヨウチョウなどの専門家ではなく、日和見で花蜜を利用する鳥たち(メジロとか)がやってくることが知られている。本研究で調査対象としているナガミカズラAeschynanthus acuminatusは黄緑色の花弁で、かつ花筒が短いので、鳥媒花らしくない花をつける。

調査地は台湾北部の2か所でタイヨウチョウがいない地域。送粉者シフトを起こしている可能性、ジェネラリストの鳥類が訪花者であれば、あまり効率が良くない可能性、ジェネラリストの鳥類が効率よく送粉しているのであれば、花弁の色や形、花蜜特性などの変化が関係している可能性などを検討している。観察方法は直接観察が18時間、ビデオカメラの記録が48時間。夜間にも両方の観察を行い、夜行性動物による訪花の有無も確認している。夜間のビデオカメラはSony Handycam Seriesを利用。訪花の有効性はめしべ上の花粉をSEMで観察して確認している。さらにコントロール、人工授粉(自家・他家)、袋掛け処理を行っている。花蜜の成分分析だけではなく、花弁や葉の反射率も測定している。

訪花が観察されたのは、メジロチメドリ(ダルマエナガ科)、ミミジロチメドリ(ガビチョウ科)、カンムリチメドリ(メジロ科)の3種。チメドリ科が細分化された影響で、和名にチメドリが残っているのでややこしい。コウモリやスズメガなどは記録されていない。Figure 2の訪花時の花粉媒介の様子をイラストにしたものがかわいい。運ばれている花粉のほとんどが同種で、同時期に開花しているPrunusやMachilusの花粉はわずか。袋掛けすると結実せず、自家受粉、タカ受粉、コントロールの順に高く、訪花した鳥類が有効に花粉媒介を行っている結果。人工授粉が低すぎる気がするけど、花粉の質の差なのか?これまでの東アジア地域で鳥媒介の花として知られてきたビワやヤブツバキでは、鳥以外にも昆虫が花粉媒介に貢献していたが、本種では鳥だけである点がユニーク。
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