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アメリカバクとムリキによる種子散布の機能的冗長性と相補性 [原著]

Bueno et al. (2013) Functional redundancy and complementarities of seed disperdsal by the last Neotropical Megafrugiores. PLoS One 8:e56252.

ブラジルで精力的に動物による種子散布の研究を継続しているGalettiさんのチームの新しい論文。メガファウナが失われて、現存する最大の果実食動物であるアメリカバク(150kg)とムリキ(15kg)の種子散布を比較した研究。種子散布過程のうち、動物がどこにどのくらいの種子を散布しているのかという点に注目している。バクとムリキでは、研究アプローチがかなり異なると思われるのだけど、このチームはもともと群集レベルで動物による種子散布を研究しているので、可能だったのだろう。

アメリカバクは調査地内のため糞サイトを定期的に訪問、ムリキは人馴れした個体(主にオトナ)を追跡して、糞をした場所とその内容を調べている。糞内容分析はメッシュサイズが2x2mmなので、小型種子は考慮していない。糞サイトの情報として、地形、DBHが40cm以上の個体までの距離、半径25m以内の潜在的な結実木など、その場ですぐに記録できる環境条件を使っている。ただし、散布先で種子の運命を追跡しているわけではなく、発芽実験によって発芽能力を確認するところまでなのはちょっともったいない。ただ、ムリキで106糞、バクで49糞とあまりサンプル数を稼ぐことができなかった様子。

両種が利用する果実種で重複していたのは、17.2%で、かなり低い。量的には、ムリキ35個体が利用している850haで、バクが22個体確認されており、それらの個体数を考慮すると、ムリキの年間の種子散布量は385,000種子、バクは36,960種子に相当する。ムリキについては、個体追跡情報から種子散布距離を推定しており、それは別の論文として報告されるらしい。

種子散布パターンをバクのみ、ムリキのみ、バク+ムリキで図示したFigure 5が良い感じ。
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