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エクアドルのオオハシ類の行動圏と行動パターン [原著]

Holbrook (2011) Home range and movement patterns of toucans: implications for seed dispersal. Biotropica (in press) DOI: 10.1111/j.1744-7429.2010.00710.x

エクアドルでオオハシ類の種子散布を研究していたHolbrookさんの学位論文のデータがようやく論文化された。ホームページで見ていた限りはいくつか鳥の雑誌(CondorとかJournal of Avian Biology)に投稿していたはずなのだけど、結局、Biotropicaに落ち着いたらしい。貴重なデータであることには変わりないし、種子散布に関連した話だし、鳥の専門誌よりはよいのではないかな?オオハシ類は新熱帯の主要な果実食動物であり種子散布者なのだけど、この研究以前にまとまった行動圏調査が行われていないのが驚き。

調査地はエクアドルのYasuni国立公園で、2001年から2005年にかけての4年間にフタオビチュウハシPteroglossus pluricinctus(20個体)、シロムネオオハシRamphastos tucanus(2個体)、ヒムネオオハシRamphastos vitellinus(1個体)に電波発信機を装着して、15分間隔で行動圏を調べている。サイチョウでもそのくらいの頻度で位置情報が記録できれば面白いのだけど、測定誤差の方が大きくならないかな?シロムネオオハシとヒムネオオハシはサンプル数が少ないのと、同じ属ということでまとめて解析している。

2005年にオーストラリアで話した時にも質問したのだけど、オオハシ類の平均行動圏サイズは200ha。サイチョウ類と比べるとかなり狭い範囲しか移動しない。体サイズが同じくらいのサイチョウがいないので単純な比較はできないけど、その程度の行動圏サイズで生活するだけの餌資源を確保できているということは、新熱帯では主食である果実の資源量が東南アジアやアフリカよりも高いのだろうか?もしくは低い時期が短いとかなのだろう。

15分間あたりの平均移動距離は、フタオビチュウハシで450m、シロムネオオハシとヒムネオオハシで220mくらい。大型種のほうが短いけどサンプルサイズが小さいので単純に比較するのは難しいかな。30分間だとフタオビチュウハシで700m、大型種で550mくらい。行動圏サイズから考えるとそのくらいの移動距離というのは妥当な結果かな。
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