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灰色文献の問題点 [原著]

Corlett (2011) Trouble with the gray literature. Biotropica (in press) DOI: 10.1111/j.1744-7429.2010.00714.x

灰色文献というのは、配布が限定される、あるいは非売品などの文献で、イメージしやすいのは大学の紀要、学位論文などだが、それ以外にもNGOなどの調査報告書なども含まれる。この論文では灰色文献が急速に増えつつある現状を踏まえ、その品質、発見、アクセス、アーカイブの4つの問題としてまとめている。

熱帯では、灰色文献はある場所はプロジェクトの唯一の情報源となっている場合も多い。また灰色文献の情報を含まないとある種の分布や現状を把握することは難しい。たとえ非常に中身が薄い灰色文献でも、政府やNGOがどのように資金を使ったのかを知ることができると皮肉っぽく書かれている。保全活動を目的としたプロジェクトが失敗した内容については、貴重なデータであるにもかかわらず、公開されていることが少ない。

コレットさんがTropical East Asia本をまとめた時に気になったこととして、特に東南アジア熱帯では学術論文として出版されず、学位論文や報告書として中身が広く公表されずに眠ったままのデータが多い点を挙げている。その意見には全面的に賛成。わたしもかなりタイの学位論文を中心とした灰色文献に目を通している方だけど、コレットさんにはかないません。こういったことを整理して意見論文としてまとめるという発想自体なかった。

特に論文中で触れられているわけではないけど、外国人にとっては日本語の文献も同様で、それをきちんと収集してアーカイブするのも研究者として必要な仕事でもあるだろう。
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