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選択的なflower abortionが絶対送粉共生系を維持する [原著]

Goto et al. (2010) Selective flower abortion maintains moth cooperation in a newly discovered pollination mutualism. Ecology Letters 13:321-329.

トウダイグサ科カンコノキ属とその送粉者であるホソガの仲間の幼虫は発達途中の胚珠を食べて成熟するが、種子の一部は幼虫に食われずに残るため両者は巧みな相互依存関係にある。理論的には、この絶対送粉共生系の安定性に効いてくるのは、お互いの過剰利用を制限する仕組みであるが、その現象を実際に野外で検出した例は少ない。

この研究では、奄美大島のウラジロカンコノキGlochidion acuminatumを対象として、flower abortionが生じた花と樹上の花へのホソガの産卵頻度を比較している。さらに過剰な花粉を人工授粉させることでflower abortionが資源制限で生じているわけではないことを示している。最後にウラジロカンコノキとホソガの適応度にflower abortionが与える影響を評価している。

人工授粉の結果はクリアーで、過剰な花粉をつけた個体でより多くの花が残っており、資源制約ではなさそう。また、flower abortionが生じた花は、明らかにランダムではなく、ホソガの産卵数が多い花に偏ってflower abortionが生じている。この結果、ランダムにflower abortionが生じる場合と比べて、ウラジロカンコノキの種子生産は16%増加する。またホソガは既に産卵されている花に産卵することで、最大62%まで適応度が低下する。

これまでに詳細な繁殖フェノロジーや送粉者の観察情報が蓄積されたからこそできる研究ですな。
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