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冬季におけるシジュウカラの種子散布者としての生態的役割 [原著]

Fujita & Takahashi (2009) Ecological role of the Great Tit Parus major as a seed disperser during winter. Ornithological Science 8:157-161.

シジュウカラなどのカラ類は基本的に昆虫食だが、実は果実も結構食べており、糞内容分析からその食性を調べている。先行研究との違いは、冬季にねぐらとして利用する巣箱内の糞を8年間にわたり継続調査している点。ねぐらとして利用しているのはヤマガラの可能性もないわけではないが、ほとんどがシジュウカラらしい。

調査期間は12月から2月にかけて、ねぐらを利用していない日中に糞を回収している。利用頻度や何羽の個体が利用したのかなどの情報はないので、回収した糞の重量比に占める種子の割合を提示している。回収した糞から見つかった種子は4,691個。66の形態種のうち、種レベルまで同定できたのが19種と全体の3分の1。66種のうち、3種は付着散布型で、残りの63種が腸内通過して運ばれてきた可能性が高い。種数の年変動は7から21種だが、回収した糞の重量との対応がわからないので、糞量が多い年と回収種子の種数が多いのかは不明。

論文の最後にまとめられているが、発芽実験による実生の確認やシジュウカラが食べる果実のフェノロジーを調べるなどの方法を組み合わせないと、これ以上の種子の同定を進めるのは難しいだろう。こういったデータは実はもっと眠っていると思うのだけどなあ。
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