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中央アフリカの熱帯林における道路と狩猟の影響 [原著]

Laurance et al. (2006) Impacts of road and hunting on central African rainforest mammals. Conservation Biology 20:1251-1261.

道路の影響を受けていないコントロールとして、シェルが管理している石油コンセッションとして残されている森林とその周辺部の森林で、人為的攪乱が大型・中型の哺乳類群集に与える影響を調べた論文。アフリカでは、霊長類などの特定の動物群を対象とした人為的攪乱の影響を調べた論文はいくつもあるが、広範な分類群を対象とした研究は珍しい。

人海戦術で、広範な地域で膨大なデータを収集している。基本的にラインセンサスを用いており、三人一組。そのうち二人は現地のハンター。一人が林床、一人が林冠、一人が動物の音を対象としたデータを収集。一つのセンサスラインを歩くのに朝の7時からスタートして夕方近くまでかかるような調査。土壌条件、林冠の開空度、林床の植生、伐採の影響、地形、狩猟の有無、道路(道幅40m)からの距離といった環境条件も収集している。群集全体の傾向を調べるにはMDSを用いて、変数をまとめてから、コンセッションの内外でデータを比較している。これ以外にサンプル数が多い種に関しては種毎、少ない種に関しては6つのギルドとして解析している。

予想されるとおり、人為的攪乱の少ない場所で動物の個体数は多い負の効果が認められるが、ネズミやヤマアラシではある程度人間の活動の影響が見られる地域の方が個体数が多い正の効果が認められる。石油会社が管理している地域の方が国立公園よりもよく保護されているという事実はなんとも皮肉。2004年に収集したデータを2005年の6月に投稿、8月に受理だから早い。見習いたいものだ。
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