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低規模な一斉開花時におけるフタバガキの繁殖 [総説]

Maycock et al. (2005) Reproduction of dipterocarps during low intensity masting events in a Bornean rain forest. Journal of Vegetation Science 16: 635-646.

マレーシア、サバ州セピロクのフタバガキ科を対象とした種子食害・種子散布・実生動態などを調べた研究。サンプル数は非常に少なく、動物は不明であるが、フタバガキ科の種子が二次散布されていることが確認されている。筆者たちは二次散布は行われたけど、実験期間内に消費されたため、それほど重要ではないのではないかと結論しているが、設置した種子のサンプル数が各種120個であることを考えると、サンプル数を10倍にするなりすれば、貯食活動がはっきりするのではなかろうか?

また著者も書いているように、この実験は結実規模が小さかった2003年に行われているため、種子食害者の捕食圧が高く、貯食活動につながらなかった可能性もある。比較対照として用いているドリアンの種子の種子捕食圧はかなり高いようだ。調査を行った3年間でいずれも多少はフタバガキ科の結実が見られているというデータは重要。全体的にはランビルの中川さんたちのデータと似ているが、こちらは捕食者の排除実験を林床で行っている。また周辺をアブラヤシのプランテーションに囲まれているセピロクでは、本来移動性が高かったであろうヒゲイノシシが定住しているので、種子食害圧が高い可能性もある。同じチームからまだ続きの研究が出るようだ。

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