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オオサイチョウとシワコブサイチョウのねぐら利用と種子散布への意義 [原著]

Naniwadekar et al. (2021). Roost site use by Great (Buceros bicornis) and Wreathed (Rhyticeros undulatus) Hornbill and its implications for seed dispersal. Biotropica https://doi.org/10.1111/btp.13039

インドのサイチョウ研究グループによるGPSを利用した個体追跡データを活用した一連の研究の一つ。アジアのサイチョウ類の中には、集団ねぐらを利用することが良く知られている種がいる。ねぐらとして利用される樹種や特定のねぐらを利用する個体数の変動などは知られているが、個体ベースではどのようなねぐら利用パターンを示すのか不明であった。さらに種子の体内滞留時間のデータなどを考慮することで、ねぐらを利用する個体があまり散布先として適当ではないとされるねぐらにどのくらいの種子を散布しているのかを推定している。

調査地はインド北東部のPakke Tiger Reserveで雄のオオサイチョウ4羽とシワコブサイチョウ1羽にGPSタグをつけて、追跡調査を行っている。19時の位置情報をねぐらとして、日々、どのように変わるのかを計算している。それらの位置情報が200m以内の場所は同じねぐらと仮定することで、ねぐらの位置を決めている。オオサイチョウは川から離れた場所にねぐらがあることが多いが、シワコブサイチョウは川に近い場所がほとんど。オオサイチョウもシワコブサイチョウも営巣場所からは離れた場所にねぐらがある。種子散布の視点からは、ねぐらに散布される種子の割合は平均10%(7-17%)と多くはないことが示されている点。体内滞留時間が非常に長い種子もしくは、ねぐら入りする前に食べられた分くらいしか散布されないだろうから、妥当な数値だろう。
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