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ガーナの森林性サイチョウは野放しの狩猟と生息地劣化により減少している [原著]

Holbrech et al. (2018) Uncontrolled hunting and habitat degradation decimate and extirpate forest hornbills in Ghana, West Africa. Biological Conservation 223:104-111.

先日、Corlettさんのセミナーに参加した時に読んでいないことに気が付いた論文。西アフリカのガーナに生息するサイチョウ類9種(大型4種の主な食性は果実食、中型3種は雑食、小型2種は昆虫食)を対象として、1990年から2014年にかけて人間活動がサイチョウ類の個体数の長期変動に与えた影響を評価している。具体的には、過去と現在の森林性サイチョウ類の個体数の比較、個体群動態の傾向、推奨する保全措置などをあげている

調査地はガーナ南西部にある森林の利用履歴の異なる保護区。1990年から2014年の間に独立に行われた7回の調査データ(4か所の野生生物保護区と22か所の森林保護区)を組み合わせて解析している。調査時期によって鳥類群集の調査手法がトランセクト法、ポイントカウント法、プレイバック法などさまざまな手法が用いられているが(著者らのメインデータは2009年のプレイバック法)、ターゲットを比較的、確認しやすいサイチョウ類に限定していることで、比較可能にしているのだろう。

2009年のプレイバック法では、9種中7種しか記録できておらず、各調査地で2-6種が記録されている。大型の森林性サイチョウ類は一部の調査地でしか記録されておらず、そこでは他の調査地よりもプレイバックへの反応も多い。長期的には、ほとんどの種で減少傾向が見られ、元の4割から9割程度に減少している。減少傾向が見られなかった2種(モモグロサイチョウとシラガサイチョウ)のうち、モモグロサイチョウはもともと低密度。結果として、現在もふつうに見られるのはシロクロコサイチョウのみ。先行研究でも大型種の急激な減少が指摘されており同じ傾向。

大型種の減少は森林伐採が低度やない場所で生じており、森林伐採にさらされていても狩猟から守られている場所では見られないことから、狩猟が原因と考えられる。狩猟が広がっている場所では、1990年代の初めには大型種が絶滅している。まあ、サイチョウ類はかなり食性幅も広いし、移動能力も高い。さらに寿命も長いので、狩猟されなければ、ある程度、森林伐採があってもやっては行けることを反映しているのではなかろうか。
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