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東南アジアの生物多様性の状態と保全 [原著]

Sodhi et al. (2010) The state and conservation of Southeast Asian biodiversity. Biodiversity and Conservation DOI: 10.1007/s10531-009-9607-5.

シンガポール大学を中心としたメンバーによる東南アジアにおける生物多様性の現状についてまとめた総説。東南アジアの生物多様性に関する論文を書く際のイントロに使いやすい情報が掲載されている。着目しているのは、東南アジアの固有性、危急性、森林破壊率を他の地域と比較、森林破壊にともなう生物の絶滅予測、人口密度と森林破壊の関係、の3点。

固有性と危急性について植物、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類で比較すると、他の地域と比べて植物、鳥類、哺乳類などで東南アジアの国々が平均的に高い値を示す。ただし、両生類や爬虫類については、東南アジアでの研究が進展していないことが一番の理由だと考えられるので、なんとも言えない。

森林破壊については、東南アジアに現存する森林で、保全されているのは面積の10%以下。もっとも保護区内でも違法伐採にさらされているので、よく保全されている森林の割合は非常に少ないだろう。1990-2000年と比べて2000-2005年で森林破壊が拡大しているとは知りませんでした。

将来予測は基本的に種数―面積の関係から導いているが、利用可能な情報を考えるとこれが一番やりやすいのだろう。衛星モニタリングで森林の回復率などの空間データが収集されつつあり、更に正確な予測を行うことができるかもしれない。現段階では2100年までに13-85%が絶滅するとの予測。

人口密度と森林被覆率との関係を示した図は別の論文でも見たことがあるが、危機に瀕している鳥類や哺乳類と都市部の人口割合に着目した図は珍しいか?
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