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種子シャドウと実生を結びつける:ドングリの場合 [書籍]

Steele et al. (2007) Linking seed and seedling shadows: A case study in the oaks (Quercus). In Dennis et al. (eds) Seed dispersal: Theory and its applications in a changing world. Chapter 14, pp. 322-339.

こちらは長くドングリの種子散布がらみの研究を行っているチームの総説。げっ歯類の貯食行動の意思決定に絡む研究はAnimal Behaviour等の動物行動系の雑誌に掲載されていることが多く、あまり目を通していないので、こういった形でまとめてあるのは便利。このチームでは15年以上も動物側からのアプローチでドングリの種子散布を研究しており、ほとんどが動物学系の雑誌に掲載されている。

この章では1.6haの調査地内に同所的に分布するQuercus rubraとQ. albaを対象として、マイクロサテライトDNAを用いた親子判定を行った結果を紹介している。ほとんど未発表データ扱いで、今後、論文化されていくらしい。実生256個体、親105個体を対象としているが、親子判定できている割合はかなり少なく(83マッチ)、調査地外に親木がある可能性が高そう。げっ歯類による貯食行動から推定される散布距離よりも随分長い散布距離が実現しており、これらの主なドングリ利用動物以外による種子散布の可能性が高そう。

でも、15年間も研究しているとはいえ、げっ歯類は本当に長距離散布をしていないわけ?という気もするのは私だけではないと思うのだけど。こういった動物側から種子散布を研究していたグループが遺伝子マーカーを用いて、実生の親子判定などを行う研究はこれから増えてきそう。

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