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スマトラ島の劣化した森における鳥類相回復の潜在性を評価する [原著]

Marthy et al. (2017) Assessing the potential for avifauna recovery in degraded forests in Indonesia. Raffles Bulletin of Zoology 65:35-48.

東南アジアの中でもスマトラ島は急速に森林破壊が進んできた地域である。本研究では、スマトラ島のHarapan Rainforest Concessionの森林劣化の程度が異なる森を調査地として、鳥類の個体数密度を比較することで、劣化林と天然林で鳥類相を比較した過去の研究結果を狙っている。

調査地はジャンビ州と南スマトラ州にまたがる標高30-120mの低地林で、鳥類調査はジャンビ側の2箇所の伐採履歴の異なる森を利用している。伐採強度が高い森は1972年と2007年の2回の伐採が行われており、伐採強度が低い森は1992年に1回伐採されている。2kmの調査路を11本(強度伐採:6本、低度伐採:5本)設定し、各調査路に200m間隔でポイントカウント法の調査地を設定している(11ポイント/調査路)。調査期間中に各調査路を3回調査している(3調査×11調査路×11ポイント=363)。

ポイントカウント法による鳥類調査は2011年で、スマトラ島の多くの鳥類が繁殖を行う4月から6月に行っている。午前6時半から10時の鳥の活動ピークがある時間帯に調査を行い、鳥との水平距離はニコンのレーザー距離計を利用して測定している。同時にOlympus VN-8100PC Digital Voice RecorderにAudio Technica ATR-55 Condenser Shotgun Microphoneをつけて音声記録も行っている。生息環境の評価はポイントカウント法の調査区の半径25m以内の環境条件を記録して利用している。樹木は中心から近い胸高直径20cm以上の10個体の胸高直径や樹高、属レベルまでの同定を行っている。ただし、オオバギ属は種まで同定している。Canopy openness、Understory opennessなども測定しているが、前者は全天写真ではなく、Perspex sheetを使った手法を利用している。データ解析にはRのvegan、rich、specaccumを利用し、鳥類の個体数密度推定にはDISTANCE v.6.0を利用している。鳥類相と環境条件の対応はnMDSで解析している。

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スマトラの熱帯泥炭地の鳥類は改変された環境をあまり利用しない [原著]

Fujita et al. (2016) Low conservation value of converted habitat for avifauna in tropical peatland on Sumatra, Indonesia. Ecological Research 31:275-285.

インドネシアのスマトラ島のGiam Siak Kecil-Bukit Batuの泥炭地湿地林が改変されることで(泥炭湿地林の択抜林、Acacia crassicarpaの人工林(高管理)、ゴム林(低管理)、村周辺)、鳥類群集にどのような影響が及ぶのかをポイントカウント法により比較した研究。各環境に3本の1kmのトランセクトを設定し、各トランセクトにおいて250m間隔で4箇所のポイントカウント調査を行っている。

ポイントカウント法は朝と夕方に行い、択抜林では2011年10月に42箇所、その他の環境では2011年3月と5月に48箇所で調査を行っているが、調査時期が異なるので渡り鳥は解析対象とはしていない。記録鳥種は利用空間と食性から、採食ギルドに分類して、解析している。また、ポイントカウントと同じ場所で植生調査も行っている。種数の比較にはEstimateSを利用し、複数の指数を算出している。さらに異なる環境間の鳥類群集の比較にはNMDS、さらにANOSIMを利用している。

択抜林では、調査努力量に対して、鳥種が飽和しておらず、種数も多い。一方、残りの環境ではほぼ飽和しており、村周辺、ゴム林、アカシア林の順に記録種数が多い。中でも森林性鳥類の影響が大きく、択抜林では種数が飽和していないが、残りの環境ではゴム林、村周辺、アカシア林の順に記録種数が多い。NMDSプロットでは、択抜林が他の3環境とは異なる場所にプロットされる。村周辺とアカシア林は異なり、ゴム林はアカシア林に近いところに1箇所、村周辺に近いところに2箇所がプロットされている。

ただ、択抜林でサイチョウ類が記録されていないのにゴム林、村周辺で記録されているのはちょっと不思議。まあ、考察で述べられているように択抜林にいないわけではないようなので、単純に調査努力量の問題か、たまたまイチジクが結実していたとかではないだろうか。
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光合成をやめた植物におけるカマドウマ類による種子散布 [原著]

Suetsugu (2017) Independent recruitment of a novel seed dispersal system by camel crickets in achlorophyllous plants. New Phytologist doi/10.1111/nph.14859

カマドウマといえば、最近はハリガネムシとの関係が有名だけど、実は種子散布にも貢献していたことが解明された。葉緑素を持たず、系統的にも離れた3種の植物(キバナノショウキラン、ギンリョウソウ、キヨスミウツボ)を対象として、果実消費の直接観察と排除実験による果実消費者の特定、カマドウマ類(コノシタウマとマダラカマドウマ)の体内を通過した種子の発芽能力の確認から、これらの植物は被食散布によって種子を散布し、その主な種子散布者がカマドウマ類であることを示した研究。

静岡県の調査地において、2011年と2012年の結実期に自動撮影カメラで哺乳類や鳥類を観察したところ、アカネズミの訪問が記録されたが、果実を食べていなかった。一方、果実に食痕が残っていたことから、自動撮影カメラのセンサーには反応しない小型の生物が食べていることが推測された。2012年から2014年は主に夜間の直接観察により果実消費を記録している。キバナノショウキランで90時間、ギンリョウソウで50時間、キヨスミウツボで50時間の直接観察を行っている。

直接観察で果実消費が記録された無脊椎動物のうち、主な消費者であったカマドウマ類(コノシタウマとマダラカマドウマ)とツヤヒラタゴミムシ属について、野外の捕獲個体や実験室内で給餌した個体の糞内容分析を行い、実体顕微鏡下で種子の有無を確認し、種子が見つかったものはTTCで種子活性を確認している。カマドウマ類からは健全な種子が見つかるが、ゴミムシからは種子が見つかってない。さらにカマドウマ類から回収した種子の活性は果実から採集した種子の活性と同程度あることから、体内通過による種子への影響はなさそう。カマドウマ類の糞って、こんなにたくさんの種子が含まれているのか。

実物はギンリョウソウの果実しか見たことはないけど、どうしてアカネズミや他の哺乳類などがこの果実を食べないのか、逆にどうして無脊椎動物たちがそんなに集まるのかも不思議で、その辺にまだ秘密がありそうなシステム。実はギンリョウソウとか種子散布者がよくわからない液果はナメクジとかに種子散布されているのではないか?と書いたことがあるのだけど(北村俊平. 2013. フェノロジー研究 48:43-54)、カマドウマたちだったか。日本にもまだまだ見過ごされてきた生物間相互作用がありそうでワクワクする論文。
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有用資源を見つけて侵入種の種子散布を妨げる [原著]

Guzzetti et al. (2017) Bioprospeting on invasive plant species to prevent seed dispersal. Scientific Reports 7:13799.

DNAバーコーディングで鳥類の果実食を明らかにした研究の続き。イタリアで外来種として問題になっているスイカズラ、ヨウシュヤマゴボウ、セイヨウミザクラの3樹種はいずれも液果をつけ、動物による被食散布によって分布域を拡大していると考えられる。増加しつつある外来種を有効利用する方法として、それらの果実から有用資源を探してみましたという研究。

いずれの植物も抗酸化作用とか総フェノール量は熟した果実よりも未成熟な果実で多い。また成分分析の結果、市場価値のある成分も抽出することはできそう。若い果実を採集することで、鳥類による種子散布の機会を減らすことになり、結果的に分布域の拡大を制限することにつながるかもしれない。アプローチとしては、増えすぎた植物や動物から有用資源を探す日本で研究と似ているか。

こういった形式の研究であれば、わたしの職場でも共同研究になるか?
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DNAバーコーディングによる鳥類の食性から植林による復元効果を評価する [原著]

Galimberti et al. (2016) Evaluating the efficacy of restoration plantings through DNA barcoding of frugivorous bird diets. Conservation Biology 30:763-73.

イタリア北部の渡り鳥の経由地として利用される場所に液果樹種を植林したことによる復元効果を鳥類による果実利用の有無から検討した研究。カスミ網を用いて、糞を回収し、糞内容物に含まれる種子や植物片をDNAバーコーディングして、同定し、果実食を調べている。調査地は2011年冬に11種441本の在来種が植林された場所。ここで2011年、2012年、2013年の9月2日から11月2日までの2ヶ月間に渡り、毎日、カスミ網による捕獲調査を行い、ズグロムシクイの糞内容物を回収している。2011年の植林が2012年や2013年のズグロムシクイの食性に影響を与えているかを検討している。

糞内容分析から回収した種子は形態種に分類し、それらをDNAバーコーディングで再同定している。種子の形態でほとんど正しく同定できており、DNAバーコーディングを使っても同じ結果になりましたという表が載っている。例外はヨウシュヤマゴボウの種子にナンバンハコベが混じっていたことがDNAで判明したと書いてある。ンバンハコベの種子は変異が大きく、ヨウシュヤマゴボウの小さい種子に類似すると考察で書いてあるけど、外見で区別できるんじゃなかろうかと思うのは、わたしが種子散布研究者だからか?

糞内容分析には、植物の知識が必要で、植物片はDNAバーコーディングしないとわからないのも事実。実際、植物片のDNAバーコーディングから、種子が見つかっていない果実種が2種記録されており、回収された種子だけに基づくと果実食を過小評価することになる。果実食の年変動の効果はクリアーで、植栽された樹種の果実の利用が増えている。2013年に回収した糞からは2011年と比べると3.8倍も多くの植栽樹種の種子が含まれている。もともと調査地にあった外来種や在来種の割合は減少している。

ただ、さまざまな地域で行われているバンディング調査で糞を回収してもらって、専門家がいなくても鳥類の果実利用を一気にDNAバーコーディングで調査するようなこともできる点では有用な方法なんだろう。

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ポルトガルのChoupalにおける種子散布ネットワーク [原著]

Cruz et al. (2013) Seed dispersal networks in an urban novel ecosystem. European Journal of Forest Research 132:887-897.

ポルトガル中部にある都市公園内における植物と鳥類の種子散布ネットワークを果実センサスとカスミ網による糞内容分析に基づいて調べた研究で、特に侵入種の影響に注目している。調査地は1791年!に設立された公園で、多様な在来種が生息しているが、外来種フサアカシアAcacia dealbataメラノキシロンアカシアA. melanoxylon、ニワウルシAilanthus altissima、ヨウシュヤマゴボウPhytolacca americanaなども分布している。

調査帰化は2011年7月から2012年2月で、夏、秋、冬の季節でデータを集めている。果実量の季節変動は公園内にランダムに配置した10箇所の50mトランセクトを毎週歩き、トランセクトから1m以内にある果実数を計数している。同時期にカスミ網を用いた捕獲調査を行い、捕獲された鳥類の糞内容分析から果実食を明らかにしている。ネットワーク分析にあたり、各植物種の健全な種子を含んでいた糞の数を利用している。

トランセクト内で8種22797個の果実が計数され、このうち7種が在来種で、残り1種はヨウシュヤマゴボウ。果実量は秋や冬よりも夏で多いが、ヨウシュヤマゴボウの果実数が夏に多いことに起因する(ヨウシュヤマゴボウの果実数で全体の54%)。カスミ網による捕獲調査から35種1137個体の鳥類が捕獲され、うち30種から464個の糞が回収された。在来鳥類11種209個の糞から、15種(在来8種、外来3種、不明4種)、1244個(在来975個、外来224個、残りは不明種)の種子が見つかり、種子散布ネットワーク上で33リンク数となった。すべての季節においてズグロムシクイが主な種子散布者で、のべ11種937個の種子が見つかっている。ヨウシュヤマゴボウは5種の鳥類に利用されており、ズグロムシクイがそのうちの85%を占めている。ただし、ヨウシュヤマゴボウの果実数が占める割合と比べると種子散布ネットワーク内でのつながりは比較的少なく、回収された種子の20%、糞の13%に含まれていたに過ぎない。

カスミ網による調査なので、捕獲できていない鳥類がいることは考察でsampling limitationとしてまとめてある。日本のカスミ網データを解析する際にも同じようなことを検討しておく必要があるだろう。1年限りのデータだけど、都市環境の種子散布ネットワーク構造が季節によって大きく変化することを示した初期の論文。
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侵入種ヨウシュヤマゴボウ用に開発したマイクロサテライト11座 [原著]

Bentley et al. (2015) Eleven microsatellites in an emerging invader, Phytolacca americana (Phytolaccaceae), from its native and introduced ranges. Applications in Plant Sciences 3:1500002887-897.

アジアで侵入種として大きな問題になりつつあるヨウシュヤマゴボウを対象として、原産地のアメリカ2箇所(フロリダとイリノイ)、侵入先のアジア3箇所(中国:徐州市、南京市、日本:須賀川市)でサンプリングした個体から得たマイクロサテライト11座を報告した論文。

自分が使うことはないけど、こんなんも開発されているということでメモ。

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鳥類による種子の持ち去り率を従来法とデジタルビデオ観察で評価する [原著]

Mokotjomela et al. (2016) An appraisal of seed enumeration and videographic techniques for determining seed removal rates by birds. African Journal of Ecology 54:281-288

南アフリカのケープ植物区において、在来種(Chrysanthemoides moniliferaとOlea europaea africana)と外来種(Lantana mararaとSolanum mauritianum)を対象として鳥類による果実持ち去りを従来法の枝の果実数を直接計数する手法とデジタルビデオカメラで観察した手法を比較した研究。調査地はケープ植物区を含む4箇所で、それぞれで4種を対象としている。潜在的な果実食鳥類は、ミドリメジロ、メジロアフリカヒヨドリ、オリーブツグミ、チャイロネズミドリ、オリーブバトの5種。

果実持ち去り量を評価する従来法では、15個体から4枝ずつをマーキングして、30日後に残存果実数を再調査している。さらに0.25m2の種子トラップを設置して、果実の落下量を推定し、枝上の残存果実数と組み合わせて、鳥類による果実の持ち去り量を推定している。実際はもうDaily Seed Removal Rates(DSR)を計算するために推定式を使っている。

デジタルビデオによる観察では、各調査地において、結実個体から30m離れた距離にKodac C813を設置して、早朝3時間、夕方3時間の調査を5日間行い、種毎に30時間の記録、計480時間の映像を記録している。このうち鳥類の採食活動が記録されたのは192時間(40%)。鳥類の採食行動がよく見られる朝夕に調査を限定しているからかもしれないが、よく撮影されている。

両手法で、一日あたりの種子の持ち去り率には、調査地・対象種の間で有意差は見られなかった。いずれの手法でも外来種のSolanum mauritianumは他種よりも高い種子の持ち去り率を示していた。ただ、1.5倍くらいなので、物凄く高いわけでもなさそう。シチヘンゲが意外と鳥に食べられておらず、考察では鳥類以外の動物、特にヤマアラシの糞からシチヘンゲの種子が見つかっているらしいけど、学位論文に書いてある内容のようなので、読めん。

樹上の残存果実数を計数して、種子トラップのデータと組み合わせて種子の持ち去り率を推定する従来法では、当然、種子を持ち去った鳥種やシードトラップからの持ち去りの影響を考慮できない。デジタルカメラを利用した方が詳細な採食行動を記録できることはわかるけど、あとのデータの処理にどの程度の時間がかかったのかなどの情報が知りたい。自動撮影カメラではないけど、ヒメアオキの論文のイントロで引用しておかねばならなかった論文だった。
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ヒメオオコウモリによる送粉がドリアンの果実生産を高める [原著]

Aziz et al. (2017) Pollination by the locally endangered island flying fox (Pteropus hypomelanus) enhances fruit production of the economically important durian (Durio zibethinus). Ecology & Evolution (in press). DOI: 10.1002/ece3.3213

新熱帯のコウモリによる花粉媒介や種子散布の研究と比べると東南アジア熱帯におけるオオコウモリの生態系機能を対象とした研究、特に花粉媒介に係る研究は非常に限られている。一方で、オオコウモリは果実を加害するなど、人間との摩擦もある動物である。すでに小型のコウモリがドリアンの花粉媒介に貢献していることは知られているが、いわゆるflying foxの貢献はよくわかってはいなかった。

調査地は半島マレーシアのティオマン島で、自動撮影カメラをドリアンの樹上に設置して、訪花動物を記録している。自動撮影カメラを2.4-20.3mとさまざまな高さに設置することで、高さによる訪花動物の違いも調べている。カメラのは花から2mの位置に設置し、撮影は10秒間、映像間インターバルは1秒にしている。データの解析に使っているRのパッケージはoverlap、reshape2、ggplot2など。overlapは共著論文で自動撮影カメラのデータ解析の際に使っていたか。自動撮影法と並行して、日中と夜間にそれぞれ直接観察も行っているが、あまり長時間の観察は行っていない。自動撮影カメラの撮影記録からは小型のコウモリの同定が困難な場合があるので、樹上でカスミ網を利用した捕獲調査も行っている。これらの調査から得られた訪花動物と結果率との関係を調べている。

19箇所に設置したカメラの内、16箇所のカメラから54日間2733回のビデオクリップと3367の静止画を得ており、6種の脊椎動物を記録している。無脊椎動物はオオミツバチとガだが、こちらは静止画でのみ記録されている。センサー感度の問題かな。いろいろな高さに自動撮影カメラを設置したことで、結果的に動物ごとに利用階層が異なる可能性、特にSaraさんたちのタイの先行研究から知られているような小型種のみならず、樹高の高い場所の花では、ヒメオオコウモリの貢献が高いことを示している点が重要。タイ南部に住んでいたころの宿舎横のアカテツ科の木にもよくオオコウモリが来ていたけど、てっぺん辺りでウロウロしていたものな。

タイのコウモリ研究者、マレーシアの哺乳類研究者、種子散布研究者など、東南アジア熱帯で植物と動物の相互作用系を研究してきた知人の名前がずらっと並んだ多国籍チームによる研究。
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樹木の葉の表(向軸側)から発する緑青色蛍光の特徴 [原著]

Nakayama & Iwashina (2017) Characteristics of green-blue fluorescence generated from the adaxial sides of leaves of tree species. Journal of Plant Research 130:301-310.

日本の動物散布に関連していて、Journal of Plant Researchに掲載されていたにも関わらず、Corlettさんの総説を読むまで存在に気がついていなかった論文。果実の紫外線反射については、これまでも幾つもの先行研究が知られているが、果実そのものではなく、一部の樹木では、葉表から緑青色蛍光を発することで、果実食動物にアピールしている可能性を指摘している。

対象は国立科学博物館の筑波実験植物園内に生育する日本在来の47科141種の葉をサンプリングして利用している。さらにヒメアオキについては、別途、果実が付いた枝もサンプリングしている。暗条件下でサンプリングした葉にUVを照射し、代表的な葉を3枚選択して、デジカメで撮影し、蛍光の輝度をL*という指標で評価している。その他に葉をミクロトームで切断して、蛍光顕微鏡で観察したり、分光蛍光光度計でスペクトルを測定したりしている。

Fig. 1に一見すると同じようにピカピカしている8種の樹木の葉が並べられているけど、これが紫外線下ではツバキだけが明るく見えている。141種のうち、このような明葉をもつ樹種はツバキ、サザンカ、サカキ、アオキ、ネズミモチ、ヒイラギ、ヤマグルマ。ツバキ科が多いけど、ツバキ科の中でもナツツバキのように暗葉しかない樹種もある。常緑性が関係しているのかとも思ったけど、モッコクは暗葉。アオキとサカキは明葉と暗葉の二型があり、ヒメアオキを利用して、より詳細な比較を行っている。ヒメアオキの明葉と暗葉では、形やサイズには明確な違いは認められない。サカキでは新しい葉は暗葉、古い葉が明葉なので、ヒメアオキでも葉寿命が関係していそう。

鳥にも同じように見えているのであれば、アオキとか、人の目にはテカテカで同じように見える葉っぱが実は明葉と暗葉が組み合わさって、とても目立っている可能性があるなんて素敵。ただ、ヒメアオキの雄株も同じようなパターンを示すのだろうか?雌株だけに見られるのなら、おもしろそう。

というわけで、執筆中の論文でさっそく引用する予定。
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