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狩猟や伐採が熱帯雨林の哺乳類群集へ及ぼす影響の相関と持続性 [原著]

Brodie et al. (2015) Correlation and persistence of hunting and logging impacts on tropical rainforest mammals. Conservation Biology 29:110-121.

狩猟や伐採が熱帯雨林に暮らす哺乳類群集に与える影響は、さまざまな研究が行われてきたが、特定の地域やどちらかの効果を評価したものが多い。本研究では、ボルネオのサバ州とサラワク州で行われたカメラトラップデータに基づき、狩猟や伐採が中・大型哺乳類のα多様性に及ぼす影響を評価している。

調査期間は2010年から2012年で、サラワク州5か所、サバ州2か所の計7か所にのべ153地点でカメラトラップ(Reconyx RM45またはBushnell TrophyCam)を行っている。カメラが故障したり、盗まれたりしたため、解析対象は134地点。各調査地のできるだけ幅広い環境条件を含む形で、少なくとも1kmは離してカメラを設置している。各調査地での調査努力量は平均60-194カメラ日で、3倍程度のばらつきがある。長期間設置することでハンターがカメラを避けることは考えられるが、そのような傾向は134か所のうち1か所でしか見られていない。

調査地間の伐採履歴はかなり異なるけど、各調査地で伐採なし、伐採後10年以内、10年以上前に伐採された森の3つのカテゴリーのうち、少なくとも2つにカメラを設置している。狩猟はカメラに撮影されたハンターの遭遇率を計算して利用している。説明要因として、環境要因を代表して標高(と標高2)、狩猟、伐採履歴を利用して、のべ16,608カメラ日のデータに基づきhierarchiacal Baysian multispecies occupancy modelsで解析している。

記録されている哺乳類の種多様性と関連するのは伐採履歴と狩猟である。伐採履歴の場合、他の要因が一定であれば、新しく伐採された場所では、伐採されていない場所と比べると哺乳類の多様性は11.3%減少するが、古くに伐採された場所ではそれほど顕著な影響は見られない。種別にみると新しく伐採された場所では全種、古くに伐採された場所でも63%の種で占有率が減少している。一方、狩猟では、他の要因が一定であれば、狩猟があることで哺乳類の多様性が30.7%減少した。種別にみても87%の種では、狩猟の効果は負である。特に古くに伐採された場所では、霊長類や有蹄類に対する狩猟の影響が大きい。
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クバ国立公園の道路沿いにおける哺乳類の分布、相対個体数、占有率 [原著]

Mohd-Azlan et al. (2018) Distribution, relative abundance and occupancy of selected mammals along paved road in Kubah National Park, Sarawak, Borneo. Nature Conservation Research 3(2): 36–46.

ボルネオで自動撮影カメラを利用して、哺乳類相を調べた研究は多いが、舗装道路など人間活動の影響を調べた研究はまだまだ少ない。クバ国立公園はサラワクでは唯一、公園内を横断する形で舗装道路があるところで、それを利用して、道路からの距離を5段階の変数として、20台の自動撮影カメラを設置して、哺乳類相を比較している。

2016年10月から2017年4月までの7カ月間、のべ2161カメラ日の調査を行い、1938枚の写真から19種の哺乳類、6種の鳥類(キンバト、アカハラシキチョウ、コルリ、タンビムジチメドリ、コサザイチメドリ、ズグロジチメドリ)、1種の爬虫類を記録している。小型鳥類をここまで同定してある研究は珍しい。哺乳類の中でも特に注目している食肉類、有蹄類、ジャコウネコ類の出現パターンは道路の近傍で少なく、100m以上離れるとある程度の撮影頻度が見られている。

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サラワク州Tanjung Datu国立公園における地上性哺乳類のカメラトラップ [原著]

Mohd-Azlan et al. (2018) Camera trapping of terrestrial animals in Tanjung Datu National Park, Sarawak, Borneo. Raffles Bulletin of Zoology 66: 587–594.

マレーシア、特にサラワク州を中心として自動撮影カメラを用いた調査をおこなっているMohd-Azlanさんらのグループによる研究。サラワク州の最西端にあるTanjung Datu国立公園という小面積保護区(1,379ha)において、2013年7月から2015年10月にかけて、10台の自動撮影カメラ(TrophyCam)をのべ23か所で設置している。

のべ2,490カメラ日の調査から1189回の画像から21種の哺乳類、2種の鳥類、1種の爬虫類が記録されている。中・大型哺乳類のうち、100回を超えて撮影されているのはブタオザル(278回)、イボイノシシ(271回)のみで、ほとんどは50回以下、ハクビシンやセンザンコウは1回しか記録されておらず、ウンピョウやマレーグマなどの大型の肉食動物は記録されていない。

よく撮影されている近縁種がいる分類群については、Dhat1を利用した活動時間帯の比較も行っているが、特に作業仮説があるわけでもないので、とりあえずやってみました感が強い。ただし、イントロや考察部分では、サラワク州やボルネオで行われた自動撮影カメラの研究で記録された中・大型哺乳類の種数がまとめられているので、サラワクのデータをまとめる際には便利。

ただ、私の論文が引用文献リストには掲載されているけど、本文中では引用されていない。以前は重複撮影データの処理として引用していたけど、今回は占有率で解析しているので、本文から削除したけど、引用文献リストは削除し忘れているんではないだろうか。
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小型の渡り鳥では、被食散布が付着散布を卓越する [原著]

Costa et al. (2014) Endozoochory largely outweights epizoochory in migrating passerines. Journal of Avian Biology 45:59-64.

ちょっと古いけどバンディングする際に糞内容分析だけではなく、付着散布も調べている研究。捕獲しているのだから、羽毛に種子が付いていないかくらいは調べている時間はあるのかも?調査地はポルトガル全域の9か所で、2012年9月10日から14日の5日間、朝6時半から11時半の5時間、渡りのピーク時期に行っている。利用可能な果実は調査地内に3本のトランセクトを設置し、計数している。

29科54種926個体を捕獲し、そこからスズメ目の48種を対象としている。そのうち20種から254糞を回収し、19種1833個の種子が見つかっている。回収された種子の大部分は被食散布されており、付着散布された種子は3種3個(セリ科Torilis arvensis、アカネ科Galium aparine、クロウメモドキ科Frangula alnus)のみ。ただ、Frangula alnusは本来、付着散布種子ではなく、たまたまついていた可能性が高いので、本来の付着散布種子は2個だけ。まあ、飛ぶとき邪魔になるだろうから、届く範囲はきれいに外されるのかもしれない。それでも付着機能を持たないFrangula alnusの種子が体表にくっついて実際に運ばれている事例としては貴重。果肉が残った状態であれば、羽毛についても不思議はない。

圧倒的に被食散布よりは少ないとはいえ、付着していることで長距離散布に貢献する可能性もある点では、意外と重要なのかもしれない。
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野外調査と室内実験によるオカダンゴムシの移動能力の推定 [原著]

Furukawa et al. (2017) Estimation of the walking ability of an exotic terrestrial isopod Armadillidium vulgare Latreille by field and laboratory measurements. Edaphologia 101:27-32.

生物の移動能力は生息範囲の推定や群集構造の解明に関わる重要な要因であるが、ワラジムシ類に関する知見はほとんどない。本研究では、外来性ワラジムシ類の一種オカダンゴムシを対象として、野外調査では標識再捕法を用いて、移動能力を推定し、室内実験では、デジタルビデオで録画した映像をMoveTr2Dというソフトで解析して、単位時間あたりの移動能力を推定している。

野外で行った標識再捕法によりオカダンゴムシは1日で24 m、8日で51m移動下個体も見つかっている。一方、室内実験の計測では、1時間で12cmとほとんど動いていない個体もいる一方で、最大49mも歩行した個体が確認されている。一日のうち、実際にその速度で活動する時間は限られるだろうけど、オカダンゴムシも結構、移動する能力はあるらしい。

どこかで見たような気もするけど、この研究で使われているソフトはカタツムリとかナメクジの移動能力を測定しなおす際に参考になりそう。
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行動と腸内滞留時間から推定したオランウータンの種子散布カーネル [原著]

Tarszisz et al. (2018) An ecophysiologically informed model of seed dispersal by orangutans: linking animal movement with gut passage across time and space. Conservation Physiology 6: coy013

東南アジア熱帯において、最大の樹上性果実食動物であるにもかかわらず、オランウータンの種子散布者としての生態系機能の研究については、驚くほど情報が少ない。

まず、オーストラリアの飼育個体を利用して、種子がオランウータンの体内を通過して、糞として排泄されるまでの時間を測定している。ただし、本物の種子を利用しているのではなく、糞からよく見られる2-6mmサイズに対応したビーズを利用している。まあ、他の動物でもよく使われている手法。糞を回収して、その中のビーズをチェックして、種子の平均体内滞留時間を推定している。ビーズのサイズ依存性はなさそうで、2mmで平均70.6時間、4mmで72.5時間、6mmで86.2時間。

次は中央カリマンタンの泥炭湿地林に生息する野生個体(メス4頭、オス3頭)の追跡調査から、採食行動などを記録している。メスとオスで明確に行動パターンに違いが見られ、行動圏推定の手法としてLoCoHというやり方を利用している。あんまり見たことないけど、最近、使われている手法なのだろうか?

これらの情報を組み合わせて、種子散布カーネルを推定して、行動圏内にどの程度の確率で種子が散布されるのかを図示している。メスの場合は76時間以内にコアエリアに戻ってくる可能性が高いので、元の場所からそれほど離れた場所に種子が散布されることは多くはない。一方、オスの場合はメスよりも遠くにランダムに種子を散布する可能性が高そう。オランウータンを対象としているだけではなく、明確に種子散布パターンに雌雄差が出てくる可能性を指摘している点で貴重な論文。

多分、初めて読んだ雑誌。
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ショウキランの種子散布:カマドウマ類による被食散布の更なる証拠 [原著]

Suetsugu (2018) Seed dispersal in the mycoheterotrophic orchid Yoania japonica: Further evidence for endozoochory by camel crickets. Plant Biology 20:707-712.

すでにギンリョウソウ、キバナノショウキラン、キヨスミウツボの果実をさまざまな節足動物が利用し、特にカマドウマ類が主な種子散布者であることは示されている。この論文では、ショウキランでも同じような動物が訪問し、カマドウマ類が主な果実消費者であり、排泄した種子の生理活性を見ているだけではなく、実際に発芽したことを野外で確認しているのがポイント。

2012年と2013年に長野県で調査を行っている。両年ともに夜間に果実消費を直接観察し(のべ40時間)、2012年はセンサー付き自動撮影カメラでも観察している。直接観察時に果実を消費したカマドウマ類を捕獲して、排泄した糞から種子を回収している。糞から回収した種子と果実から採集した種子はTTCで生理活性を確認し、発芽能力を比較している。さらに糞から回収した種子とコントロール種子をショウキランの近くの地面に埋めて、1年後に回収することで、発芽の有無を確認している。

ヒメネズミとアナグマはカメラに撮影されたが、食べてはいない。果実が小さすぎるとは思えないし、哺乳類が食べないところに何か不思議がありそう。センサーが稼働するような動物が果実消費しているわけではないのは、先行研究と同じ結果。食べたのはカマドウマ類を中心とした節足動物で、アリとか甲虫も食べている。40時間でカマドウマ類の訪問回数が40回。

一度、ギンリョウソウの果実で直接観察してみようかな。
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キホオテナガザルはDracontomelon daoの重要な種子散布者 [原著]

Hai et al. (2018) Gibbons (Nomascus gabriellae) provide key seed dispersal for the Pacific walnut (Dracontomelon dao), in Asia's lowland tropical forest. Acta Oecologica 88:71-79.

ベトナムのCat Tien国立公園でキホオテナガザルがよく利用しているウルシ科Dracontomelon daoの種子散布を調べた研究。2014年11月から2015年9月にかけて、3個体からなる家族を追跡して、果実消費や移動距離などを調べている。2015年にこの家族の行動圏内で結実していた10個体を対象としている。調査対象木から東西南北4方向に20×1mの調査区を設定し(樹冠を超える)、結実期間中、そこに落下した果実、種子、皮を二日ごとに計数している。果実や種子に残された食痕から利用した動物(未利用、テナガザル、マカク、リス)を推定している。結実量は落下した未利用果実と皮の数から推定している。

キホオテナガザルの種子散布距離は、前日に1個体しか利用しなかった場合は、その個体を母樹とし、複数個体を利用していた場合は、1個体しか利用しなかったときの体内滞留時間から推定している。さらに短期間の種子の運命を散布者(テナガザル、マカク、未利用果実)×結実個体からの距離(5m間隔)×種子持ち去り動物の排除の有無(ケージ)の処理を6個体の結実木周辺で行い、のべ1080種子を実験に用いている。種子の発芽は6個体の結実木周辺で結実終了後も約2週間間隔で観察を継続し、発芽の有無を調べている。さらに散布者間(テナガザル、マカク、未利用果実)の発芽率の違いを播種実験から確認している。最後にこれらの情報をまとめてSDEを計算している。

学位論文としてまとめられている中に果実消費の詳細な情報などもあるようなので、続きの論文を期待したい。
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温帯林におけるゴールデンモンキーによる付着散布の証拠 [原著]

Chen et al. (2018) First evidence of epizoochorous seed dispersal by golden snub-nosed monkeys (Rhinopithecus roxellana) in temperate forest. Plant Ecology 219:417-427.

霊長類による被食散布はよく研究されているが、付着散布についての知見は非常に限られている。2016年7月から11月に中国の温帯林において、人なれしているゴールデンモンキーの群れの12個体(オス4個体、メス4個体、ワカモノ4個体)を対象として、3日ごとにブラッシングして、毛に付着している種子を回収して、同定している。

5科7属8種1920個の種子を回収し、オオダイコンソウ、ヤブジラミ、キンミズヒキなどが優占していた。これは調査地の78種の草本の10.3%の種数に該当する。個体あたり8個の種子を運んでおり、性別や成長段階で種子数に差は見られない。個体あたりが運んでいる種子数は決して多くはないし、掲載写真のようにたくさんの種子をつけた個体ばかりというわけではなさそう。さらにグルーミングで種子を外すこともあるので、地上を歩きまわっているイノシシなどと比べると頻繁に運ぶわけではなさそうだが、初めての報告としての価値が高い。
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木登りヤギさん反芻中に種子をまく [原著]

Delibes et al. (2017) Tree climbing goats disperse seeds during rumination
Frontiers in Ecology and the Environment 15:222-223.

モロッコで有名な木登りヤギが種子散布している可能性を指摘した論文。ヤギは険しい岩場を利用することはよく知られているが、木に登ることもある。モロッコでは、アカテツ科アルガンノキArgania spinosaに登って、その果実を利用する。1990年代からアルガンノキの種子からとれるアルガン油の市場価値が高まり、需要が増えてきた。アルガン油をとるには、まず果実から果肉を取り除き、核を破壊する必要がある。アルガンノキの果実をヤギに食べさせて、排泄された糞から核を取り出していると言われてきたが、実際は吐き戻しているらしい。モロッコのヤギ飼いたちも核は吐き戻していることを知っている。

有蹄類による被食散布は糞内容分析に注目したものが多いが、確かに吐き戻しでも種子散布しているし、カオヤイならホエジカやサンバーなどで普通に見られる現象。この研究では、ヤギに5種の果実(ヤシ科Chamaerops humilis、バラ科Crataegus monogyna、ニレ科Celtis australis、モクセイ科Olea europaea var. sylvestris、Olea europaea var. domestica、マメ科Ceratonia siliqua)を給餌して、吐き戻される種子の割合とその種子活性をTTC反応で検討している。というわけで、木登りヤギさんの話はイントロで使われているだけ。種子直径が10mmを超える大型種子2種(Chamaerops humilis、Olea europaea var. domestica)は30-45%の種子が吐き出され、その他は10%より少ない。

有蹄類による吐き戻し散布はそんなに見過ごされている種子散布システムだとは思わないけど、イントロの書き方とか上手なのだろうなあ。

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