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MotionMeerkat:動態検知と生態モニタリングを統合する [原著]

Weinstein (2015) MotionMeerkat: integrating motion video detection and ecological monitoring. Methods in Ecology and Evolution 6:357-362.

長時間の録画記録から、研究に関係するフレームを自動的に抽出し、確認作業にかかる時間を減らすことを目的としたアプリ。Swinnen et al. (2014)で扱った短時間(数分間)の映像ではなく、長時間(数時間)の映像を解析対象としている。ビデオファイルを入力すると注目した動作候補となるフレームが出力される仕組み。

ハチドリが花を訪問する様子を2日間に渡って撮影したタイムラプス映像からハチドリが訪問するフレームを抽出し、3倍速でヒトが確認して作成したデータと比較している。さらに全く異なる環境条件(巣箱の観察映像、深海、巣での捕食など)の映像でも解析して有効性を検討している。ハチドリのようにかなり素早い動作が含まれる映像では、ヒトが見逃したフレームもしっかり確認できている様子。

論文を読むよりも使ってみるかと、解析用PCにインストールして、キャベツを食べに来たヒヨドリを撮影した映像を使って動作させてみた。確かにヒヨドリが来たフレームをうまく抽出している様子。ただ、私の映像は1分間しかないし、Swinnen et al. (2014)のアプローチのほうが作業量を減らすことができそう。たくさんのファイルを連続して処理できるような工夫ができればちょっと便利か。インターバル撮影したjpgファイルを結合して読み込ませてもよいのかも。

カメラトラップの映像処理時の作業時間を減らす新手法 [原著]

Swinnen et al. (2014) A novel method to reduce time investment when processing videos from camera trap studies. PLOS ONE 9:e98881.

ベルギー北部に再導入されたヨーロッパビーバーをモニタリングする目的で設置された自動撮影データから効率よく対象種の映像を選び出す作業を自動化することを目的とした研究。カメラ機種はBushnell Trophy Camsで、9箇所のなわばり内に12台(巣穴5台、通路3台、採餌場所4台)設置している。平均35日間稼働させて、撮影時間は15秒間、撮影間隔は1秒の設定、カメラのセンサー感度は場所によって使い分けている。mediumが一番多くの環境で使われ、水が激しく動いているような環境では、lowを利用している。保存データ形式はaviで16GBのメモリーカードから野外でPCにデータをコピーして確認している。

本来はビーバーが撮影されている映像のみを抽出したいが、そのような高レベルのパターン認識アルゴリズムは難しい。その代替手法として、ビーバーがいない映像を抽出して、トータルの作業量を減らすことを考えている。解析前の事前処理として、撮影データの最初の2フレームは削除する処理と映像データをダウンサンプリングして、細かな変化を取り除く処理を行っている。ビーバーは十分に大きいので、この処理では排除されないらしい。データのフィルタリングは2つの手法を使っており、平均値からのズレを見る手法とフレーム間の差分をとる手法を使っている。

12台のカメラで405カメラ日1991データが記録されており、半分の933データが乾燥地、1058データが湿地の映像。1043データにビーバーが撮影されており、553データが空、395データがビーバー以外の動物が撮影されていた。フィルタリング処理により、ビーバーが撮影されていない映像を抽出できているが、フィルタ2のほうがより良く抽出できている。また、背景の変動が少ない乾燥地のデータのほうが湿地よりも効率よく抽出できている。

False-Positive Rateをどこまで許容するかによって削減できる作業量は変化するが、5%の場合で18-42%、20%で72-76%のビーバー以外の動物のデータを抽出できる。全てのデータを見る必要はないけど、そのカメラに対象生物が撮影されているかどうかを確認する際には便利かもしれない。

カメラトラップで撮影された動物種の自動識別 [原著]

Yu et al. (2013) Automated identification of animal species in camera trap images. EURASIP Journal on Image and Video Processing 2013:52.

自動撮影カメラの撮影データの自動化に関する研究のさきがけ。建物内や通りに設置した監視カメラでの認識システムなどと比べ、野生動物を対象とした自動撮影カメラの撮影データは、さまざまな条件下での撮影データとなり、動物を自動判別するにはいろいろと難しい要因が含まれている。この論文では、ScSPM法(sparse conding spatial pyramid matching)を改良して、SIFTとcLBPという処理を組み合わせて使っている。

元データは熱帯雨林(パナマのBCI)と温帯林(オランダのHoge Veluwe)の2箇所で撮影された写真で専門家により同定作業が終わったものを利用している。前処理は行わず、自動化の際に問題になりそうな要因が含まれた撮影データとして使っている。カメラはReconyx RC55、PC800、HC500で、秒間1フレームで3.1メガのjpgファイルが生成される。ただし、夜間は赤外線フラッシュで撮影しているので、グレースケール。

57種10598データがあり、そこから50データ以上の上位18種を解析対象としている。データ数が多い種については、100データまでを選び、少ない種は全てのデータを解析に利用している。1データは10フレーム以下で、動物が撮影されていたのは7196枚で、ここは手作業で抽出している。これらのデータに基づいて、7割を教師データ、残りをテストデータとして利用して、SIFT処理、cLBP処理、SIFT処理+cLBP処理で正答率を比較している。

実際の画像処理の手法はよくわからんけど、解析に利用した上位18種の平均正答率は82%。3分の1に関しては90%以上の正答率だが、シカの仲間のように見かけが似ているものでは、正答率が下がるのは人間の作業と同じで今後の課題。

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