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サイチョウのくちばしにも熱交換調節機能があるのか? [原著]

van de Ven et al. (2016) Regulation of heat exchange across the hornbill beak: functional similarities with toucans? PLoS ONE 11: e0154768

鳥類のくちばしの熱交換機能に関する研究は、ここ最近、急速に進んできた。特にくちばしが全長の3分の1を占めるオニオオハシの研究はインパクトがあったけど、それと同じようなことをアフリカのカラハリ砂漠に生息するミナミキバシコサイチョウTockus leucomelasを対象として研究している。繁殖期前に雌雄それぞれ9個体を捕獲し、室温をコントロールできるチャンバー内で実験している。室温は15、25、35、45度の4段階で調べており、調査対象個体は、チャンバー内の止まり木で撮影している。実際は途中で落ち着かなくなった個隊のデータを排除しているので、雄6個体、雌8個体の観察データに基づいている。

くちばし内にも血管系が発達している様子がよくわかる。室温が低い15度では、くちばしの温度は気温と同程度、30.7度で、下のくちばしが発熱、32.2度で両方のくちばしが発熱しているが、40.3度では、口を開けて放熱し、くちばしの方が気温よりも低くなっている。ただし、オニオオハシのくちばしの熱交換機能は低そう。アフリカの肉食性が強いサイチョウを対象としていることが理由の一つだろう。アジアの果実食性のサイチョウだともう少し違った傾向になるかもしれない。カスクの熱交換機能についても、再検討としてみる価値はあるのかも。

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