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オウムによる体内通過型の種子散布 [原著]

Blanco et al. (2016) Internal seed dispersal by parrots: an overview of a neglected mutualism. PeerJ 4:e1688.

オウムには果実食のものが多いが、果実をつぶして食べ、種子は捨てることが多いため、種子散布者の視点からの研究はほとんど行われてこなかった。しかし、種子食害者とされている動物の多くが、実際は種子散布者としての機能があることが示されつつある。この研究では、新熱帯のオウム類の糞内容分析(ねぐら、食事場所、巣)を行い、健全な種子の有無を確認している。ただし、サンプリングはかなり場当たり的に行われており、特定種を対象としたような研究ではない。

分内容分析から見つかった種子はTCCを利用した発芽能力の確認し、さらにTCCの有効性を確認するため、ペトリ皿への播種も行っている。これらを踏まえて、オウム類の食性を調べた研究をレビューして、潜在的に体内通過型の種子散布が行われている可能性が高い植物種との相互作用を検討している。

11種のオウム類の糞578個のうち、4種65個の糞から種子が見つかった。見つかった種子は5科(バラ科、クワ科、サボテン科、キク科、オオバコ科)の7種1787個。まったく種子が含まれていない糞は果実以外のものを食べていた可能性が高そう。糞から回収された種子の特徴は、いずれも小型で種子サイズが3mm以下。かなり小さいものしか体内通過していない。果実サイズはバラバラで、大きな果実から非常に小さな果実まで含まれている。セイヨウオオバコなんて、地上に降りて食べたということか?

回収された種子数が多いサボテン科のPilosocereus pachycladaとCereus jamacaruでは、TCCを利用した評価では前者で41%、後者で93%の発芽能力を示している。Pilosocereus pachycladaの発芽実験では、36%とTCCよりも多少、低い値が示されたが、それほど大きな違いはなさそう。残り5種はTCC処理した種子数が1-20個に過ぎないので、よくわからない。ただ、Rubus sp.は20個処理して、発芽能力がなさそうというのは、ちょっと気になる。

EndozoochoryとStomatochoryで種子サイズを比較したところ、前者が小さい。このStomatochoryという単語は”dispersal by animals where the seeds are spat (after carrying)”という定義らしい。マカクの頬袋散布ともちょっと違うのか?他の論文で、こんな単語見たことあったかな?種子サイズを長径と短径でプロットして、stomatochory、endozoochory、endozoochory (potential)で比較した図はわかりやすい。サイチョウでも種子を呑み込む場合と吐き戻す場合で比較する図を作っておいてもよさそう。

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