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アルゼンチンでは、クリハラリスが外来植物を種子散布する [原著]

Bobadilla et al. (2016) Asiatic Callosciurus squirrels as seed dispersers of exotic plants in the Pampas. Current Zoology: 10.1093/cz/zow009

アルゼンチンのパンパスでクリハラリスの糞内容分析と発芽実験を行い、体内通過型の種子散布の可能性を示している。ネズミやリスが外来種として問題になる際には、種子食害に注目されることが多いが、これらの動物たちは種子散布にも貢献している可能性も高い。クリハラリスがアルゼンチンに導入されたのは1970年で、すでに個体群が確立している。

2011年6月から2012年7月にかけて3か所の調査地に各3haの調査区を設定し、リスの糞、調査区内の葉、果実、種子を参照標本として収集している。糞内容分析から見つかった種子は各種50個を対象として、種子重、種子の長さ、幅、長さ/幅を計測している。発芽実験は、糞内容分析から回収し田種子と果実から採集した種子をペトリ皿(26 × 11 mm)に播種している。30日間、発根した数を毎日数えている。さらに発芽しなかった種子については、TCCで発芽能力の有無を確認している。

のべ883個の糞のうち、26%から3種(Ligustrum sinense、L. lucidum、Melia azederach)の破壊された種子が見つかっている。さらに21%から4種226個(Casuarina sp.、Morus alba、Schinus molle、Pyracantha sp.)の種子が見つかっている。ほとんどはMorus albaの種子だった。調査地内の49種の樹木のうち、糞から見つかった種子はごく一部の種に限られている。発芽率はコントロールの方が高いが、糞から回収した種子も60%程度の発芽率を示している。ただし、Casuarina sp.、Morus albaの2種をまとめて提示してある点に注意。

意外と利用している植物種が少ないけど、外来種の種子散布に外来種が貢献している事例としてメモ。

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