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森の庭師:サイチョウ類が大型種子の空間分布を決める [原著]

Naniwadekar et al. (2021) Gardeners of the forest: hornbills govern the spatial distribution of large seed. Journal of Avian Biology2021: e02748
https://doi.org/10.1111/jav.02748

インドのサイチョウチームによる一連の種子散布論文の一つ。先行研究と比べるとより広い空間スケールで、サイチョウ類による種子散布の効果を検討することを試みた研究。大型種子をつける樹木5種(Beilschmiedia assamica、Phoebe sp.、Canarium strictum、Dysozylum sp.、Alseodaphne petiolaris)に注目することで、サイチョウルイによる種子散布の影響をより明瞭に示すことを狙っている。

調査地はインド北東部で、結実個体での果実の持ち去りの観察時間は12時間から34時間であまり多くはない。種毎の解析は厳しいので、サイチョウ類、ミカドバト類、小型鳥類、哺乳類の4つの機能群にした解析を行っている。哺乳類をひとまとめにするのはちょっと乱暴に見えるけど、霊長類やリス類はそれほど多く見られなかったらしい。サイチョウ類の個体数と餌植物の密度は8本(少なくとも500m離れた)の長さ1.5kmの調査路を設定して計数している。各調査路を500mに区切って、計24か所の調査区を設定した形にしている。

各調査路の両側10mでGBHが30cm以上のサイチョウ類の餌植物を計数しているけど、こちらは先行研究ですでに計数したもの。種子散布量の調査として、調査路沿いに200か所の1平方メートルの調査区を設定して、大型種子の散布の有無を定期的に確認している。さらに実験的に種子を150m間隔で設置して、散布後の種子の運命を追跡している。実生と稚樹については、調査路の両側1.5m幅について、同定可能な4樹種(Alseodaphneを除く)を計数している。最終的には、これらの情報を積み重ねて、最終的にサイチョウ類の種子散布量は個体数密度が高いところでは、1平方キロメートル当たり、大型種子12,700個に該当すると推定している。

Publonsに査読履歴が公開されているんだけど、最近、この地域のこの分野の論文はレビューしたばかりだから、この論文はとっても重要である、なんてコメントはコレットさんにしか書けない。
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