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小型の渡り鳥では、被食散布が付着散布を卓越する [原著]

Costa et al. (2014) Endozoochory largely outweights epizoochory in migrating passerines. Journal of Avian Biology 45:59-64.

ちょっと古いけどバンディングする際に糞内容分析だけではなく、付着散布も調べている研究。捕獲しているのだから、羽毛に種子が付いていないかくらいは調べている時間はあるのかも?調査地はポルトガル全域の9か所で、2012年9月10日から14日の5日間、朝6時半から11時半の5時間、渡りのピーク時期に行っている。利用可能な果実は調査地内に3本のトランセクトを設置し、計数している。

29科54種926個体を捕獲し、そこからスズメ目の48種を対象としている。そのうち20種から254糞を回収し、19種1833個の種子が見つかっている。回収された種子の大部分は被食散布されており、付着散布された種子は3種3個(セリ科Torilis arvensis、アカネ科Galium aparine、クロウメモドキ科Frangula alnus)のみ。ただ、Frangula alnusは本来、付着散布種子ではなく、たまたまついていた可能性が高いので、本来の付着散布種子は2個だけ。まあ、飛ぶとき邪魔になるだろうから、届く範囲はきれいに外されるのかもしれない。それでも付着機能を持たないFrangula alnusの種子が体表にくっついて実際に運ばれている事例としては貴重。果肉が残った状態であれば、羽毛についても不思議はない。

圧倒的に被食散布よりは少ないとはいえ、付着していることで長距離散布に貢献する可能性もある点では、意外と重要なのかもしれない。
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