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スマトラの熱帯泥炭地の鳥類は改変された環境をあまり利用しない [原著]

Fujita et al. (2016) Low conservation value of converted habitat for avifauna in tropical peatland on Sumatra, Indonesia. Ecological Research 31:275-285.

インドネシアのスマトラ島のGiam Siak Kecil-Bukit Batuの泥炭地湿地林が改変されることで(泥炭湿地林の択抜林、Acacia crassicarpaの人工林(高管理)、ゴム林(低管理)、村周辺)、鳥類群集にどのような影響が及ぶのかをポイントカウント法により比較した研究。各環境に3本の1kmのトランセクトを設定し、各トランセクトにおいて250m間隔で4箇所のポイントカウント調査を行っている。

ポイントカウント法は朝と夕方に行い、択抜林では2011年10月に42箇所、その他の環境では2011年3月と5月に48箇所で調査を行っているが、調査時期が異なるので渡り鳥は解析対象とはしていない。記録鳥種は利用空間と食性から、採食ギルドに分類して、解析している。また、ポイントカウントと同じ場所で植生調査も行っている。種数の比較にはEstimateSを利用し、複数の指数を算出している。さらに異なる環境間の鳥類群集の比較にはNMDS、さらにANOSIMを利用している。

択抜林では、調査努力量に対して、鳥種が飽和しておらず、種数も多い。一方、残りの環境ではほぼ飽和しており、村周辺、ゴム林、アカシア林の順に記録種数が多い。中でも森林性鳥類の影響が大きく、択抜林では種数が飽和していないが、残りの環境ではゴム林、村周辺、アカシア林の順に記録種数が多い。NMDSプロットでは、択抜林が他の3環境とは異なる場所にプロットされる。村周辺とアカシア林は異なり、ゴム林はアカシア林に近いところに1箇所、村周辺に近いところに2箇所がプロットされている。

ただ、択抜林でサイチョウ類が記録されていないのにゴム林、村周辺で記録されているのはちょっと不思議。まあ、考察で述べられているように択抜林にいないわけではないようなので、単純に調査努力量の問題か、たまたまイチジクが結実していたとかではないだろうか。
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