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DNAバーコーディングによる鳥類の食性から植林による復元効果を評価する [原著]

Galimberti et al. (2016) Evaluating the efficacy of restoration plantings through DNA barcoding of frugivorous bird diets. Conservation Biology 30:763-73.

イタリア北部の渡り鳥の経由地として利用される場所に液果樹種を植林したことによる復元効果を鳥類による果実利用の有無から検討した研究。カスミ網を用いて、糞を回収し、糞内容物に含まれる種子や植物片をDNAバーコーディングして、同定し、果実食を調べている。調査地は2011年冬に11種441本の在来種が植林された場所。ここで2011年、2012年、2013年の9月2日から11月2日までの2ヶ月間に渡り、毎日、カスミ網による捕獲調査を行い、ズグロムシクイの糞内容物を回収している。2011年の植林が2012年や2013年のズグロムシクイの食性に影響を与えているかを検討している。

糞内容分析から回収した種子は形態種に分類し、それらをDNAバーコーディングで再同定している。種子の形態でほとんど正しく同定できており、DNAバーコーディングを使っても同じ結果になりましたという表が載っている。例外はヨウシュヤマゴボウの種子にナンバンハコベが混じっていたことがDNAで判明したと書いてある。ンバンハコベの種子は変異が大きく、ヨウシュヤマゴボウの小さい種子に類似すると考察で書いてあるけど、外見で区別できるんじゃなかろうかと思うのは、わたしが種子散布研究者だからか?

糞内容分析には、植物の知識が必要で、植物片はDNAバーコーディングしないとわからないのも事実。実際、植物片のDNAバーコーディングから、種子が見つかっていない果実種が2種記録されており、回収された種子だけに基づくと果実食を過小評価することになる。果実食の年変動の効果はクリアーで、植栽された樹種の果実の利用が増えている。2013年に回収した糞からは2011年と比べると3.8倍も多くの植栽樹種の種子が含まれている。もともと調査地にあった外来種や在来種の割合は減少している。

ただ、さまざまな地域で行われているバンディング調査で糞を回収してもらって、専門家がいなくても鳥類の果実利用を一気にDNAバーコーディングで調査するようなこともできる点では有用な方法なんだろう。

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