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カメラトラップの映像処理時の作業時間を減らす新手法 [原著]

Swinnen et al. (2014) A novel method to reduce time investment when processing videos from camera trap studies. PLOS ONE 9:e98881.

ベルギー北部に再導入されたヨーロッパビーバーをモニタリングする目的で設置された自動撮影データから効率よく対象種の映像を選び出す作業を自動化することを目的とした研究。カメラ機種はBushnell Trophy Camsで、9箇所のなわばり内に12台(巣穴5台、通路3台、採餌場所4台)設置している。平均35日間稼働させて、撮影時間は15秒間、撮影間隔は1秒の設定、カメラのセンサー感度は場所によって使い分けている。mediumが一番多くの環境で使われ、水が激しく動いているような環境では、lowを利用している。保存データ形式はaviで16GBのメモリーカードから野外でPCにデータをコピーして確認している。

本来はビーバーが撮影されている映像のみを抽出したいが、そのような高レベルのパターン認識アルゴリズムは難しい。その代替手法として、ビーバーがいない映像を抽出して、トータルの作業量を減らすことを考えている。解析前の事前処理として、撮影データの最初の2フレームは削除する処理と映像データをダウンサンプリングして、細かな変化を取り除く処理を行っている。ビーバーは十分に大きいので、この処理では排除されないらしい。データのフィルタリングは2つの手法を使っており、平均値からのズレを見る手法とフレーム間の差分をとる手法を使っている。

12台のカメラで405カメラ日1991データが記録されており、半分の933データが乾燥地、1058データが湿地の映像。1043データにビーバーが撮影されており、553データが空、395データがビーバー以外の動物が撮影されていた。フィルタリング処理により、ビーバーが撮影されていない映像を抽出できているが、フィルタ2のほうがより良く抽出できている。また、背景の変動が少ない乾燥地のデータのほうが湿地よりも効率よく抽出できている。

False-Positive Rateをどこまで許容するかによって削減できる作業量は変化するが、5%の場合で18-42%、20%で72-76%のビーバー以外の動物のデータを抽出できる。全てのデータを見る必要はないけど、そのカメラに対象生物が撮影されているかどうかを確認する際には便利かもしれない。
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