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フィリピンのパラワンサイチョウの繁殖生態と保全 [原著]

Widmann et al. (2015) Aspects of breeding biology and conservation of the Palawan Hornbill Anthracoceros marchei in the Palawan Faunal Region, Phillippines. Malayan Nature Journal 67:131-143.
http://www.mnj.my/index.php/mnj/article/view/181

サイチョウ学会を定期的に開催する意義としては、これまで繁殖生態が知られていない種の情報が報告されること。サンプル数も少なく、一流誌に掲載できるだけの情報を収集するのは難しいが、保全上、貴重な情報を含んでいることが多い。この論文では、本来はフィリピンオウムCacatua haematuropygiaの保全を目的として設立された保護区内で、パラワンサイチョウの繁殖生態を記録している。オウムもサイチョウも樹洞を繁殖に利用するので、オウムの調査をしていると、結果的にサイチョウの営巣木に遭遇することもある。

保全プロジェクトを行っている3か所(いずれも)で樹洞を利用している動物を探している。調査地によってはDipterocarpus grandiflorusやKoompassia excelsaなどが林冠を構成している。農耕地に残された林冠木でオウム、サイチョウ、キュウカンチョウなどの営巣に使われているものは、密猟者が個人所有している。

8樹種からなる9つの営巣木をモニタリングし、5樹種は種レベルまで同定できており、Azadirachta excelsa、Koompassia excelsa、Pongamia pinnata、Syzygium claviflorum、Terminalia calamansanai、残りはCleistocalyx sp.とSyzygium sp.については属レベルまで同定されている。

パラワンサイチョウの繁殖期は乾季の終わりの3月末から雨季の中頃の7月末で、同じ木を複数年(最大5年)利用していた。繁殖期間中に営巣木の下に落とされた種子は少なくとも13種あり、Syzgium、Canarium、Elaeocarpus、Garciniaなど。フィリピンでもCanarium食べているんだなあ。でもGarciniaって小型種の柔らかい種子をもつグループだろうか。

パラワン南部の50名のハンターに聞き取り調査を行っており、年に17羽のサイチョウを捕獲し、そのうち14羽が自家消費用。パラワン全体でも同じなら、ペット用よりも肉としての消費で利用される割合が高いのかもしれない。ペット用に捕獲されているのも確か。ネット上で販売されている場合もあるが、どうも正式な許可があるわけではなさそう。日本国内で販売されているのはどこから入手されたのだろうか?
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