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ブードー・スンガイパディ国立公園におけるサイチョウ類用の人工巣の評価 [原著]

Pasuwan et al. (2015) An assessment on artificial nest construction for hornbills in Budo-Sungai Padi National Park, Thailand. Malayan Nature Journal 67:100-117.
http://www.mnj.my/index.php/mnj/article/view/179

2013年4月にフィリピンで開催されたサイチョウ学会の特集号。わたしがちょうど滞在していた2004年から開始された人工巣は2006年以降、徐々に使用頻度が高まってきた。この研究では、人工巣と自然巣の繁殖活動を比較することで、人工巣の有効性を評価している。具体的には、訪問頻度や営巣期間の比較とデータロガーによる巣内の微環境(温度と湿度)の記録を行っている。

筆頭著者は生態学者ではなく、芸術が専門で、人工巣の作成を手掛けた。2005年から2006年にかけて、のべ19個の人工巣が導入された。人工巣を利用したのはいずれもオオサイチョウで、利用したペアの数は、2006年に1ペア、2007年に1ペア、2008年に3ペア、2009年に5ペアと徐々に増えてきている。ツノサイチョウは様子を見に来ているけど、2009年までには利用していない。

営巣期間は、自然巣で平均121日、人工巣で123日とほぼ同じで、タイ国内の先行研究で知られている114-134日の範囲におさまっており、営巣期間が長期化するなどの影響はなさそう。ただし、人工巣の気温や湿度は外気とほぼ同じで日変動があるのに対して、自然巣ではほぼ一定で安定している。木の上に固定しているので、自然巣よりも日光の影響を受けやすいのは間違いない。

それでも自然巣が少ない環境では、保全対策として人工巣は有効な手段の一つだろう。
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