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ウェタの体サイズが大きくなると種子散布の有効性が増加する [原著]

Larsen & Burns (2012) Seed dispersal effectiveness increases with body size in New Zealand alpine screen weta (Deinacrida connectens). Austral Ecology 37:800-806.

ウェタの被食散布を研究しているニュージーランドのBurnsさんチームの研究。ニュージーランドの山地性のDeinacrida connectensにツツジ科スノー・ベリーGaultheria depressaの果実を実験的に与えた研究。アカモノみたいな果実らしい。ウェタは野外で15個体を採集し、実験室内での3つの給餌実験を行っている。最初の実験では、スノー・ベリーの果実を一晩あたりどのくらい消費するのかを確認している。次の実験では、事前に計数した種子を餌に混ぜて与え、種子がどの程度食害されるのかを確認している。最後の実験では、広場で移動率を定量化して種子散布距離の推定を行っている。

ウェタは雌雄で大きさが異なり、メス8個体、オス6個体、雌雄不明1個体を実験に利用している。サイズは1.20-5.06cmとかなり変異が大きい。体重も0.13-9.97gと10倍近い差がある。大きいのはカブトムシくらいの重さがあるのか。野外から採集してきてから3日後にはスノー・ベーリーの種子が排泄されなくなる。普段からかなり食べているらしい。

給餌実験から、ウェタが大きいほど、たくさん食べ、健全な種子が排出される割合が高い。小型のウェタでは種子食害の割合が高いので、ほとんど種子散布に貢献しないが、ある一定サイズよりも大きくなると4割以上の種子が体内通過している。実験条件での移動距離は毎分4m程度だが、大型の個体のほうがよく動く。小型のウェタはほとんど種子散布に貢献しないが、大型の個体は毎晩、数百個の種子を散布している。種子食害者が種子散布も行っているのは、鳥類や哺乳類にもあてはまる議論なので、種子食害者として片付けられていた分類群にもっと目を向けてみるべきなのかもしれない。

日本のブナ林のアカモノとか、意外と昆虫が種子散布していたりして?シラタマノキはライチョウとかウサギとかが食べるみたいだから、そっちがメインかな。来年度、ブナ林の実習のときに観察してみようかな。
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