SSブログ

インド北東部の狩猟林と択伐林におけるサイチョウ散布樹木の更新 [原著]

Sethi & Howe (in press) Recruitment of hornbill-dispersed trees in hunted and logged forests of the Indian Eastern Himalaya. Conservation Biology DOI: 10.1111/j.1523-1739.2008.01155.x

インドでサイチョウ類の種子散布の研究をしていたDatta Aparajitaさんの調査地で、より植物側の観点から調査を行っている研究。保護林2か所、人為的撹乱の影響を受けている場所2か所を調査地として、人間活動の影響がサイチョウ散布植物の実生更新に与える影響を評価している。調査方法としては、タンザニアの山地林でアオギリ科の種子散布の研究をしていたCordeiroさんを踏襲しているが、複数種を扱っている点が新しい。ただ、果実持ち去りの観察データは含まれておらず、果実食動物の個体数比較と実生個体数の比較のみを扱っている。

調査対象はサイチョウ類が種子散布を行う大型種子をもつ樹木センダン科Chisocheton paniculatus(種子重12g)とDysoxylum binectariferum(13g)とバンレイシ科Polyalthia simiarum(5g)の3種を対象としている。平均樹高はセンダン科の2種が13mだが、Polyalthiaは30mと比較的高い。ChisochetonとPolyalthiaは比較的密度が高く、DBH10cm以上の個体数密度はヘクタール当たり20本、一方、Dysoxylumは4本しかない。

保護林と撹乱林では、サイチョウ類で顕著な個体数の差が見られるが、ヤマミカドバトでは差が見られない。3種の樹木のうち、Chisochetonは保護林では、結実木から遠い方(10-40m)で実生や稚樹の個体数が多く、撹乱林では結実木周辺(10m以内)で個体数が多い予測通りのパターンが見られている。一方、残りの2種では、同じようなパターンは見られず、Dysoxylumはいずれの場所でもよく散布されているようなパターンを示す。実際は果実持ち去りのデータも収集しているらしいが、考察で未発表データとしてちらりと触れられる程度。別の論文として投稿されるのを待とう。

わたしのポスドク仕事はこういった形の研究を目指していたはずなんだけど…。カオヤイなら、これと同じような研究をさらに対象種を増やして行うことができるかもしれないが、狩猟圧が高い公園周辺部は標高が低いなど、別の要因も関係してくるので、その辺のコントロールが難しいかもしれない。ただ、力技でできる調査なので、卒業研究とか修士の研究テーマとしてはよいかもしれない。

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。